統合失調症とは?原因や仕事への影響を解説します。

障がい理解のキホン

統合失調症とは、100人に1人弱がかかるといわれている主要な精神疾患の一つであり、妄想、幻覚、意欲低下などさまざまな症状が現れ、社会生活に困難さが生じてしまう障害です。

近年障害者雇用が浸透しつつあるため、少しずつ統合失調症の認知度は上がってきています。しかし、実際にどのような障害であるのかを理解している人は少ないといえます。

本記事では、統合失調症の主な症状と原因、職場や仕事に与える影響について解説していきます。

統合失調症とは?

統合失調症は、10代後半から40代くらいの人が発症しやすく、100人に1人弱がかかる可能性がある精神疾患です。思考、感情、言語などの認知機能に問題が生じ、脳の働きをまとめることが難しくなり、幻覚や妄想、独り言、まとまりのない会話、感情鈍麻などの症状が現れます。

また、病識の低さから、薬を飲んだりリハビリをしたりしても、症状が出なくなると治療を自己判断でやめてしまうのも統合失調症の特徴の一つです。そのため、症状が回復しても再発してしまい、さらに症状が重くなってしまう場合があります。

では、詳しい症状と原因をそれぞれ解説しましょう。

症状

統合失調症の症状は、主に下記の3つが前兆期・急性期・消耗期(休息期)・回復期の過程でそれぞれ特徴として現れます。

陽性症状

急性期に多く見られ、悪口や命令が聞こえる、何者からか注目を浴び迫害されるなど、現実に起こっていない出来事を確信する「妄想」「幻覚」が代表的な症状です。

また、思考の混乱で考え方に一貫性が無くなったり、自分と他人の境界線が理解出来なくなったりする「自我障害」も特徴に挙げられます。

陰性症状

消耗期(休息期)に多く見られます。喜怒哀楽が乏しくなり、共感性が低くなる「感情鈍麻」、やり始めたことが長続きしない「意欲の低下」、誰ともコミュニケーションを取らなくなる「社会的引きこもり」などが現れます。

認知機能障害

回復期に多く見られ、物事を理解し覚えることに時間がかかる「記憶力の低下」や、仕事や勉強に集中が出来ず、物事の優先順位が立てられない「注意・判断力の低下」などの症状が一例になります。

統合失調症は、脳の働きが原因で症状が現れ、身辺処理、対人関係、仕事、学業などの全般機能が低下してしまう精神疾患であるといえます。

原因

統合失調症の原因について、実はまだ正確に分かっていない部分は多いですが、最近の研究で少しずつ解明され始めている現状があります。

一つ目は、元々ストレスに対する耐性が低い人がなりやすい障害であり、人間関係のトラブルや結婚、転職などの環境の変化で大きなストレスや過度の緊張がかかった時に、発症するのではないかといわれています。

二つ目は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンのバランスが崩れてしまい正しく情報が伝達されないことが原因とも考えられます。

他にも、「遺伝子が関係している先天的な障害である」や「家庭や職場環境などの後天的な要因が関係している」など、さまざまな研究がされています。

統合失調症が仕事に与える影響

統合失調症の3つの症状は、仕事に与える影響が大きいです。例えば、仕事に集中出来なかったり、他人や物事に頓着が無くなり身だしなみやルールを守らなくなったりします。

また、注意力、集中力、判断力の低下から仕事の処理スキルが落ちることもあり、統合失調症の人が仕事をする上で抱える問題は多いです。

ではここからは、統合失調症が仕事に与える影響について詳しく解説していきます。

仕事に集中しにくい

統合失調症の人は、妄想や幻覚の陽性症状が原因で、仕事に集中しにくい点が挙げられます。「挨拶しているのに、同僚が無視してくる」「みんなが悪口を言ってくる」など現実には起きていない出来事を本当のことの様に思い込んでしまい仕事が手につかなくなります。

また、療養を経て久しぶりに復帰した場合は、今までの環境には無かった光や音に敏感になり、仕事に集中しにくくなる場合もあります。

意欲の低下

統合失調症の陰性症状の一つである他者や物事に興味が無くなり自分の殻に閉じこもってしまう社会性の喪失が原因で、意欲が低下してしまうことが挙げられます。そのため、遅刻や早退が増えたり、パフォーマンスが下がったりして、仕事に影響を与えてしまいます。

また、客観的に見た時に、症状から来る無気力なのか、ただの怠慢なのか判断が出来ずに上司や同僚からの評価が下がってしまう悪影響もあります。

頭が働きにくい

統合失調症の認知機能障害が原因で頭が働きにくくなり、仕事に大きな影響が出ます。例えば、理解力や判断力が乏しいため、仕事を覚えることが出来なかったり、ミスを繰り返したりしてしまいます。

そのため、仕事に対するモチベーションや自信を持てなくなってしまうケースも少なくありません。

まとめ、注意事項

統合失調症の主な症状と原因、職場や仕事に与える影響について解説しました。統合失調症は、専門医の指示に従って投薬治療やリハビリテーションを行うことで、症状改善に期待が出来る精神疾患です。

正しい治療を受けることで、仕事に復活して活躍したり、安定した社会生活を送ったりすることも出来るようになるため、もし当てはまる症状がある方は、早めに受診することをおすすめします。

※本記事は、福祉・医療関係者のアドバイスのもと執筆しておりますが、内容の正確性に関しては保証しかねます。ご参考までにお読みくだされば幸いです。

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