適応障害とは?原因や職場・仕事で与える影響を解説

障がい理解のキホン

その症状、適応障害かもしれない?

日々、生きているとたくさんの人や環境によってある出来事が起きます。その出来事により、嬉しかったり、楽しかったり、イライラしたり、寂しくなったり、悲しくなったりと感情への変化が目まぐるしい状態となります。

本人しかわからないストレスが重くのしかかり、対応できなくなり、日々の生活に支障をきたす症状を感じられたら適応障害かもしれません。
今回は、社会人を対象に職場で感じられる適応障害の症状や対応策について説明していきます。

適応障害の症状とは?

適応障害の原因はずばりストレスです。このストレスを回避すると症状が改善されます。適応障害の症状については、これが適応障害だという明確な症状は決まっていません。これは、本人自身が受けるストレスは、個人差があります。そのため、症状も一人ひとり違います。

適応障害の症状は、身体面、精神面、行動面の3つに症状が分けられ、それぞれの主な症状は以下の通りです。

【初期症状①身体面】

 不眠、起床困難、めまい、食欲不利、吐き気、動悸、倦怠感、腹痛、頭痛、疲労感、肩こり

【初期症状②精神面】

 涙もろくなる、気分の落ち込み、意欲や集中力低下、イライラ、焦り

【初期症状③行動面】

 過剰な飲酒や暴食、無謀な運転、仕事の停滞、無断欠勤や遅刻

仕事のストレスで適応障害になるとは?

仕事に関するストレスとは何が考えられるでしょうか?仕事とは、多くの人に関わりを持ちながら、報告連絡相談の連続です。また上下関係や職場内外の付き合い等もあります。仕事のストレスと言えば、仕事の量が多くなり残業が増える、仕事への責任感、パワーハラスメント、役割・地位の変化等が考えられるでしょう。

仕事のストレスとなる具体例を紹介します。
例えば、仕事を頑張っているが、仕事の量(ノルマ)は減らないので十分に休むことが出来ずに適応障害になるケースだと以下の職場環境が想像できます。

  • 1日に働く時間が、通常勤務8時間に加え、残業4時間以上を行う。
  • 休日も業務について考えてしまい、休めていない。
  • 長時間労働と職場の環境ストレス(人間関係)に身を置く時間が長くなる。

このような職場環境で勤務を続け、ストレス負荷となり、不眠状態や遅刻・無断欠勤の症状が見られ、精神科等へ受診・適応障害の診断を受けるとの流れが例として考えられます。 

職場で活用したいメンタルヘルス

健康的に働きたいのにストレスが多い社会では、願わない希望なのでしょうか?その希望に対して、働く環境改善や自分自身のストレス状態を知るきっかけを作るための方法があります。

ストレスチェック制度

労働環境についての法的整備が行われ、2015年より労働者数50人以上だと労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度が実施義務となっています。

ストレスチェック制度とは、自身でストレスチェックのアンケートに回答、分析し、自身が抱えているストレスについて知り、自身でメンタルヘルスに対しての予防を行っていく仕組みです。

労働者数50人以下の事業所でも実施したい場合には、厚生労働省からストレスチェックを実施できるように書類テンプレートが用意されているので、詳しくは、厚生労働省版ストレスチェック実施プログラムを参考にしてみてください。

産業医へ相談

労働者数50人以上の職場には、産業医を選任しなければなりません。
産業医とは、労働を専門とする医師免許を持っている方で、健康診断の実施や結果と対処を専門的な立場から助言します。先ほどのストレスチェック制度に基づく高ストレス者の面接や指導も業務として行われています。

高ストレス状態と判断をしても、産業医との面談を希望する人は多くありません。産業医と面談するよりは仕事をしなければならないと健康以上に仕事をしている人もいるかも知れません。そこで、明日にでも産業医へ相談したくなるメリットをご紹介します。

  • 職場の環境改善への見直しのきっかけになる。
  • 相談しにくい内容でも医師のため、相談内容の守秘義務が行われる。
  • 休業についての医学的判断がつきやすい。
  • 離職率の低下

職場での悩みを産業医へ相談して、健康的に仕事を行うきっかけにしましょう。

メンタルヘルス研修

メンタルヘルス研修は、小規模事業所でも導入しやすい取り組みです。メンタルヘルス担当者は、産業医等の助言、指導等を得ながら事業場のメンタルヘルスケアに関する情報を提供します。衛生管理者や常勤保健師等より選任され、努力義務となっていますので、必ず行われている研修ではありません。

研修の方法としては、パンフレット配布、社内報、集合教育、個人教育、イベント等で行われます。内容としては、メンタルヘルス対策をする必要についてを理解し、セルフケア、ラインケア、産業医や保健師スタッフによるケア、病院への受診等の学習が行われます。メンタルヘルス対策を知るきっかけとなるので、研修にはぜひ参加するようにしましょう。

適応障害で仕事に支障が出た場合にすべきこと

自身や周囲からでも、適応障害についての早期発見は、不眠や肩こり、腹痛等の身体症状だと疲れや風邪気味だと感じ、職場のストレスが原因であると気付きにくいです。毎日の仕事が積み重なり、環境改善されないまま症状の悪化となることも。

自身の心身を守る為には、以下の行動をお勧めします。

気になる症状が出たらまず病院へ

普段は決してやらない仕事のミスや遅刻、無断欠勤、休暇でも業務について考えこんでしまう等の症状を感じられる場合には、病院へ行きましょう。身近なかかりつけ医や心療内科への通院にて、話を聞いてもらうだけでも自身の体調不良の原因が話していくうちに理解される可能性もあります。早めの受診を行い、自身の体調を取り戻す方法を理解するのも治療の一部です。

休みたいと思ったら無理せずに休むのもアリ

仕事を休みたいと感じたら、仕事を優先せずに思い切って休みを取りましょう。休むと決めたら、無断欠勤ではなく休む旨を伝えましょう。体調が優れないと伝え、休むことに対しての罪悪感を持つ必要は全くありません。

自身の体調を優先し、ストレスを少しでも減らせるように仕事を休みリフレッシュを取りましょう。

悪化したら無理せずに休職も検討

仕事も集中できない、日常生活に支障が出ている状態のならば、病気を悪化させないためにも休職するのはおすすめです。

労働者の申し出と診断書で、ほとんどの事業場では休職が出来ます。また、休職に対しては、就業規則の確認、医師の診断書作成、上司への相談、傷病手当金の申請などの手続きがあります。

体調が悪いまま、業務に十分なパフォーマンスが出来ない状態を続けると仕事のミスや体調の悪化に繋がります。まずは休職をきっかけに心身を休めましょう。

まとめ、注意事項

適応障害についての十分な理解を周囲が行っていなければ、少し休めばまた復帰できる等の間違った理解もあり得ます。なぜ、適応障害になったのか、仕事の量や質、人間関係、職場環境に問題はなかったのかを点検する必要も事業場として考える必要があります。

日々、行う業務や人間関係により体調を崩すのではなく、メンタルヘルス対策を行い、セルフケアや産業医への相談、年1回のストレスチェックを活用をして、より良い職場環境を保ちましょう。

※本記事は、福祉・医療関係者のアドバイスのもと執筆しておりますが、内容の正確性に関しては保証しかねます。ご参考までにお読みくだされば幸いです。


タイトルとURLをコピーしました